アメリカのイラク戦争の戦費は580兆円
劣化ウラン弾? アメリカの戦争犯罪である。
イラク戦争で米軍の掃討作戦が展開された中部ファルージャにある地元総合病院で、この3年半に少なくとも1158人の子どもに先天異常が確認された。このうち11カ月間の新生児を対象とした調査では先天異常の発生率が14・4%だった。原因は未解明だが、米軍兵器の影響も指摘されている。イラク保健省は実態調査を始めている。
イラク戦争後、先天異常の増加が住民の間で不安を広げていた。地域最大の国立ファルージャ総合病院は2009年10月以降、サミラ・アラーニ小児科医(48)=3月からファルージャ母子病院勤務=を中心に出生状況の把握に乗り出し、これまでに1158人の子どもに先天異常が確認された。
また、アラーニ医師と英がん先天異常財団のマラク・ハムダン科学部長ら専門家3人の共同調査で、09年11月から11カ月間に診察した新生児2016人のうち291人に先天異常があり、発生率は14・4%だった。症状別では心臓循環器系の異常が113件、神経系72件、消化器系40件、ダウン症30件などだった。
日本では横浜市大先天異常モニタリングセンターの10年度全国調査で、先天異常の発生率は2・31%だった。平原史樹センター長は、14・4%は「非常に高い」とする一方、ファルージャ総合病院の出産傾向が地域全体を適切に反映しているかや、生活環境や近親婚の状況などの検証が必要だと指摘した。
米ミシガン大の環境毒素学者ら専門家らが10年にファルージャの56家族を対象に毛髪を調べたところ、先天異常の子どもは健常児に比べて有害金属の鉛が5倍、水銀は6倍の含有量だったとし、「爆撃が金属汚染を悪化させ、先天異常の多発を招いている可能性が示唆される」としている。
アラーニ氏とハムダン氏らの別の調査では、先天異常のある子の両親25組の毛髪を分析した結果、低濃縮のウランが検出された。「ウランを使った兵器や知られていない新型兵器」に起因する可能性を指摘している。劣化ウラン弾の影響だとする研究者もいる。
■開戦10年、やっと調査
イラク保健省は昨年6月から先天異常やがんの状況について、家族状況や症状を聞き取る調査を世界保健機関(WHO)の承認を得る形で進めている。5月にも結果を公表するという。
同省のハッサン・アルカザズ公衆衛生局長は、社会問題化したことが調査開始の発端としつつ、開戦から10年の今が「調査に最適な時期だ」と説明した。
調査はこれまで「壁」に突き当たってきた。
科学技術省の核化学専門家ムンジット・アルナエブさん(58)は1年前、ファルージャの調査を省内で提案した際、「国民の不安を深めたくない」と反対された。土壌汚染調査を自力で始めると、上司は「結果は口外するな」と命じた。住民の血液調査などの結果を公表できるかは「政治状況による」と口ごもった。
イラク議会の保健環境委員会では、政府に米政府との補償交渉を求める声が出ている。リカー・アルヤシン委員長は「米軍は撤退したとはいえ、調査を阻むだけの影響力を持っている」と警戒する。
米国防総省のシンシア・スミス報道官は朝日新聞の取材に、健康異常を示す「十分な証拠がない」と回答。(1)地場産業による汚染(2)妊婦の栄養不足など5項目を例示し、「これらが適切に考慮されなければ、住民が異常な高率で疾患に直面していると判断するのは困難」とし、「米軍需物資による汚染との関連を証明する科学的な調査はない」とも述べた。
掃討作戦で投入した兵器について、同省当局者は「どの通常兵器がどの程度使われたか正確な記録はない」と説明した。(ファルージャ=村山祐介)
http://digital.asahi.com/articles/TKY201303310347.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201303310347
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