指定が解除されても、現実には戻れないケースが多いのでは?
東京電力福島第一原子力発電所から半径20~30キロ圏を中心に設定された緊急時避難準備区域について、政府は今月中に指定を解除することを地元自治体に伝えたことが19日、わかった。
政府は、区域内の5市町村の放射性物質の除染などの復旧計画がまとまった段階で指定を一括解除するとしていた。除染作業の実施時期の調整が難航していた広野町が同日、国に提出したことで5市町村の復旧計画が出そろった。
緊急時避難準備区域は南相馬市、田村市、楢葉町、広野町、川内村の全域または一部。原発事故前の人口約5万8000人のうち、約3万人が避難している。
地元自治体の担当者によると、指定解除は、政府の担当者から今月中旬、「今月中に解除する」と伝えられた。
避難準備区域、月内の指定解除を自治体に伝達
読売新聞 9月20日(火)3時3分配信
拡大写真 |
読売新聞 |
政府は、区域内の5市町村の放射性物質の除染などの復旧計画がまとまった段階で指定を一括解除するとしていた。除染作業の実施時期の調整が難航していた広野町が同日、国に提出したことで5市町村の復旧計画が出そろった。
緊急時避難準備区域は南相馬市、田村市、楢葉町、広野町、川内村の全域または一部。原発事故前の人口約5万8000人のうち、約3万人が避難している。
地元自治体の担当者によると、指定解除は、政府の担当者から今月中旬、「今月中に解除する」と伝えられた。
最終更新:9月20日(火)3時3分
除染は手付かず 見えぬ帰町時期 福島・広野
河北新報 9月18日(日)6時10分配信
町全域が緊急時避難準備区域に指定されている福島県広野町が、「住民帰町」のタイミングを計りかねている。今月中にも指定は解除される見通しで、一部の住民は既に町に戻っている。避難中の住民からは「帰れる時期の見通しを早く示してほしい」との声も出ているが、町内の除染は手付かずのまま。区域指定の解除後、町が「安全宣言」を出すまでにはかなりの時間を要しそうだ。(太楽裕克)
◎生活に不自由ない
広野町の中心部に住む無職男性(63)が戻ったのは8月中旬。いわき市の仮設住宅に一緒に避難していた母親(89)が「(広野町の)家に戻る」と決めたからだ。
仮復旧の下水道を含め水道や電気などのライフラインは復旧していた。町唯一のスーパーは休業中だが、数軒の個人商店は再開している。不足分はいわき市へ買いに行く。母親が通っていた開業医も、週1回だが診療している。「母親を一人にはできず戻ったが、特に生活に不自由はない」と話す。
町によると、町民約5300人のうち戻っているのは約300人。その大半は高齢者という。町役場前の空間放射線量は毎時0.4マイクロシーベルト程度だが、文部科学省などの調査では町内に1.0マイクロシーベルト以上の地点もある。
町は10月にも除染に着手する考え。山田基星町長は帰町のタイミングについて「除染結果を国と協議し、これで安全という判断を得ること」と慎重な姿勢を崩さない。国との協議で放射線量が問題ないと判断されれば、町は「安全宣言」を出す考えだ。
◎「準備のスタート」
安全宣言を打ち出す時期についても山田町長は「除染に必要な期間やその効果は、実際にやってみないと分からない。避難準備区域の指定解除は、町に帰る準備のスタートにすぎない」と明確にしていない。
指定解除に備え、各自治体は復旧計画を作成しなければならない。広野町も26日からの9月定例町議会に示す予定だが、具体的な帰町の時期は盛り込まないという。
いわき市の仮設住宅に住む渡辺ゆかりさん(42)は「子どもが来年、受験を控えており、帰れる時期が分かればありがたい」と時期の明示を求める。
一方で町に帰るのを諦めた人も。いわき市の仮設住宅で生活する坂本奈々恵さん(24)は勤務先が休業となり、夫の望さん(22)も建設会社を解雇された。「2歳の子どもがいるし、帰っても働く場所がない。たとえ除染しても戻る気になれない」。いわき市に定住することを念頭に就職先を探す。
「復興を担う若い世代が安心して帰れるよう早く除染を終え、雇用も確保したい」。山田町長は安全に生活できる環境が整うまでの「我慢」を町民に呼び掛ける。
【緊急時避難準備区域】 福島第1原発が緊急事態に陥った場合などに安全を確保できるよう、屋内退避や避難に常時備えることを求められている区域。原発から20~30キロ圏で、計画的避難区域を除いたエリアが対象。広野町は全町、南相馬市、田村市、楢葉町、川内村がそれぞれ一部指定されている。区域内では小中学校は休校、病院も入院患者収容などが制限される。警戒区域(原発から20キロ圏)や計画的避難区域と異なり、自宅に住むことは可能だが、実際には生活が困難な地域も多い。
◎生活に不自由ない
広野町の中心部に住む無職男性(63)が戻ったのは8月中旬。いわき市の仮設住宅に一緒に避難していた母親(89)が「(広野町の)家に戻る」と決めたからだ。
仮復旧の下水道を含め水道や電気などのライフラインは復旧していた。町唯一のスーパーは休業中だが、数軒の個人商店は再開している。不足分はいわき市へ買いに行く。母親が通っていた開業医も、週1回だが診療している。「母親を一人にはできず戻ったが、特に生活に不自由はない」と話す。
町によると、町民約5300人のうち戻っているのは約300人。その大半は高齢者という。町役場前の空間放射線量は毎時0.4マイクロシーベルト程度だが、文部科学省などの調査では町内に1.0マイクロシーベルト以上の地点もある。
町は10月にも除染に着手する考え。山田基星町長は帰町のタイミングについて「除染結果を国と協議し、これで安全という判断を得ること」と慎重な姿勢を崩さない。国との協議で放射線量が問題ないと判断されれば、町は「安全宣言」を出す考えだ。
◎「準備のスタート」
安全宣言を打ち出す時期についても山田町長は「除染に必要な期間やその効果は、実際にやってみないと分からない。避難準備区域の指定解除は、町に帰る準備のスタートにすぎない」と明確にしていない。
指定解除に備え、各自治体は復旧計画を作成しなければならない。広野町も26日からの9月定例町議会に示す予定だが、具体的な帰町の時期は盛り込まないという。
いわき市の仮設住宅に住む渡辺ゆかりさん(42)は「子どもが来年、受験を控えており、帰れる時期が分かればありがたい」と時期の明示を求める。
一方で町に帰るのを諦めた人も。いわき市の仮設住宅で生活する坂本奈々恵さん(24)は勤務先が休業となり、夫の望さん(22)も建設会社を解雇された。「2歳の子どもがいるし、帰っても働く場所がない。たとえ除染しても戻る気になれない」。いわき市に定住することを念頭に就職先を探す。
「復興を担う若い世代が安心して帰れるよう早く除染を終え、雇用も確保したい」。山田町長は安全に生活できる環境が整うまでの「我慢」を町民に呼び掛ける。
【緊急時避難準備区域】 福島第1原発が緊急事態に陥った場合などに安全を確保できるよう、屋内退避や避難に常時備えることを求められている区域。原発から20~30キロ圏で、計画的避難区域を除いたエリアが対象。広野町は全町、南相馬市、田村市、楢葉町、川内村がそれぞれ一部指定されている。区域内では小中学校は休校、病院も入院患者収容などが制限される。警戒区域(原発から20キロ圏)や計画的避難区域と異なり、自宅に住むことは可能だが、実際には生活が困難な地域も多い。
最終更新:9月18日(日)6時10分
0 件のコメント:
コメントを投稿