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2013年4月20日土曜日

遠野物語


『遠野物語』(とおのものがたり)は、柳田國男が1910年(明治43年)に発表した説話集。日本民俗学の黎明を告げた名著である。現在は、岩波文庫、角川ソフィア文庫、集英社文庫等にある。

岩手県遠野町(現・遠野市)出身の小説家・民話蒐集家であった佐々木喜善によって語られた遠野盆地~遠野街道に纏わる民話を、柳田が筆記・編纂し自費出版した初期の代表作。その内容は天狗、河童、座敷童子など妖怪に纏わるものから山人、マヨヒガ、神隠し、死者などに関する怪談、さらには祀られる神、そして行事など多岐に渡る。『遠野物語』本編は119話で、続いて発表された『遠野物語拾遺』には、299話が収録されている。もう一人大きな影響を与えたとされるのが、やはり遠野出身で、佐々木喜善の先輩格である伊能嘉矩であった。

1910年、僅か350部余りで自費出版(聚精堂)された。柳田の前著である『石神問答』は、難解だったためかあまり売れ行きが芳しくなかったのに対し、『遠野物語』は僅か半年ほどで印刷費用をほぼ回収できた(200部は柳田が買い取り知人らに寄贈した)。寄贈者では、島崎藤村や田山花袋・泉鏡花が積極的な書評を書いた。『遠野物語』を購読した人たちには芥川龍之介や南方熊楠、言語学者のニコライ・ネフスキーなどがいる。特に芥川は本著を購入した当時19歳であったが、親友に宛てた書簡に「此頃柳田國男氏の遠野語と云ふをよみ大へん面白く感じ候」と書き綴っている。当時はあくまで奇異な物語を、詩的散文で綴った文学作品として受け入れられた。

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