アベノミクスの刺激を受けて、日本経済は最近、いくつかの転機を迎えている。第1四半期(1-3月)には国内総生産(GDP)の実質値が前期比0.9%増加し、外部の予測を上回る好調さだった。だが4月の貿易赤字は8700億円(1ドルは約101円)に達して、過去最高を記録した。今月23日には東京証券取引所の代表的な株価指数である日経平均株価が前営業日比7.3%低下し、27日にも再び同3.22%低下と暴落した。日本経済はまるでジェットコースターに乗っているように目まぐるしく動いている。これらの現象は互いに矛盾しているようだが、実際には安倍政権が掲げる経済政策「アベノミクス」の限界を表すもので、限界が来る前に出された危険を示すシグナルの一つだといえる。「人民日報」が伝えた。
具体的にいうと、1-3月の日本の実質GDPは前期比0.9%増加したが、名目GDPは0.4%の増加にとどまり、デフレの指数はなお0.5%に達して前期の倍以上となっている。ここからデフレ圧力が少しも軽減されていないことがわかる。労働者の賃金は0.5%減少のマイナス成長で、GDPの60%を占める個人消費の伸びは期待できないとわかる。輸出は同3.8%増加したが、これは主に前の3四半期のゼロ成長やマイナス成長に対する反発だ。企業の設備投資は5四半期連続でマイナス成長となり、企業が苦しい経営状態から脱出しておらず、経済復興はまだ弱々しいことを示している。
貿易の状況をみると、日本は10カ月連続で貿易赤字で、4月には再び巨額の赤字に陥ったことが予想される。世界経済が下降する中で、生産コストの上昇が企業の輸出力を弱め、特に極めて大規模な金融緩和政策を実施してからは、人為的に大幅な円安を招いて、半年も経たずに円の対ドルレートは27%低下した。円安は輸出を促進するが、これと同時に輸入コストを増大させる。輸入の数量と価格が変わらない状況の下では、円安がもたらした輸入の損失は輸出拡大の効果よりも大きいことが考えられる。日本が自ら育てた苦い果実は自らゆっくりと味わうしかない。
株式市場についていえば、安倍晋三首相が就任してから半年も経たないうちに株価は66%上昇したが、この上昇には虚飾の色が濃い。日本の資産経済と実態経済の間には深刻な乖離があるのだ。つまり株式市場が上昇しても企業の業績が上がったり、実体経済が成長したりするわけではなく、ただアベノミクスへの期待が喧伝されるだけだ。市場がアベノミクスに疑問をもてば、株式市場に激震が走ることは避けられない。
日本経済の問題は構造的な問題だといえる。人口高齢化、増え続ける政府債務、イノベーションの不足などで、これは短期的な量的緩和政策でどうにかなるものではない。安倍首相とそのブレーンは問題の原因をデフレに帰結させ、インフレへの道を強行しようとしている。だがその末路は行き止まりだ。日本経済が今、早急に解決しなければならない問題は「有効な需要の不足の問題」だ。だがアベノミクスは個人消費を拡大し、所得を拡大し、企業の設備投資を拡大することと背中合わせだ。処方箋が適切でないのに、どうして治療効果が上がるだろうか。また円安は輸出を促進するものの、輸出の対象国が定まっていないので、輸出拡大の目標を達成することは難しい。中国は日本にとって最大の輸出市場であり、今年1-4月の対中輸出額は前年同期比13%減少した。対中輸出を増やせなければ、日本の対外需要拡大は困難だといえる。
日本経済の最近の動きをみると、10兆円を超える公共投資が次々に実施されるのに伴い、日本の13年度の成長率は2.5%前後に達することが予想される。14年度以降は公共投資の効果が徐々に弱まり、これに伴って量的緩和政策で期待された効果も消えていき、これに来年4月の消費税引き上げを考え合わせると、これから一定の期間、消費が冷え込むことは避けられないとみられる。より重要なことは、国民が財政の苦境の解決への希望を見いだせず、内需も外需も拡大が難しいとみられ、日本はこれから経済成長の大幅な減速という事態を迎えると考えられることだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年5月28日
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