【ワシントン=山川一基】国際通貨基金(IMF)のブランシャール調査局長は9日、安倍政権の「アベノミクス」が世界経済の「新たなリスクだ」と指摘した。一方、IMFは同日、最新の世界経済見通しで、日本の2013年の実質成長率予想を前年比2・0%増に上方修正した。
ブランシャール氏は同日の会見で、世界経済の新たな懸念材料として「中国の金融システム不安や成長の鈍化」「アベノミクス」「米国の量的緩和の縮小による世界金融の不安定化」の順で、言及した。
IMFはこれまでアベノミクスを支持してきた。リスクだと指摘するのは初めてだ。
ブランシャール氏は、アベノミクスが信頼できる中期的な財政健全化策を伴わなければ、「投資家が日本の財政の持続性を不安視し、日本国債に高い金利を求めることが心配だ」と指摘。「そうなると財政運営は困難になり、アベノミクスは難しい状況に追い込まれる」と述べ、財政再建の取り組みを強く求めた。
一方、IMFは9日に公表した世界経済見通しで、日本について短期的には「日本銀行による金融緩和が民間需要に効果を及ぼす」と指摘。13年の日本の成長見通しは4月の前回発表から0・5%幅上方修正した。東日本大震災の反動で伸びた昨年(2・0%増)と同じ成長を見込む。それ以前でみると、10年(4・7%増)以来の高い成長率だ。一方で14年は世界の景気鈍化の影響を踏まえ、0・3%幅下方修正し、1・2%増と予想した。
日本以外のほとんどの先進国と新興・途上国の成長見通しは下方修正した。13年の世界の成長率は3・1%で14年は3・8%。いずれも前回発表から0・2%幅引き下げた。「いくつかの新興国の低成長と欧州の不況が大きく響いている」という。
米国は3月に始まった政府支出の強制削減の悪影響で、13年は1・7%増に下方修正。ユーロ圏はマイナス幅が0・6%に膨らむ。新興・途上国は0・3%幅低い5・0%増に下方修正にされた。金融不安を抱える中国は前回発表より0・3%幅低い7・8%増に下方修正された。
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